志摩市のとあるお寺で、書道家の撮影をしてきた。HP用の写真が目的だったが、その場の空気や光に触れているうちに、ただの素材撮影では終わらない、特別な時間になった。 お寺の窓を全開にして柔らかな自然光を取り込む。畳をゆっくりと照らすその光が、空間全体に静謐な雰囲気を与えていた。機材は一通り持ち込んだが、下手にライティングを作り込むのは違うと感じた。自然光だけで撮影することを決めた瞬間、光と影が作り出す独特の美しさが、目の前に広がり始めた。 墨をする音、筆が紙を走る音。その静かなリズムの中で、書道家が集中してい ...