小学館IKKIコミックでとても素晴らしい作品。「潜熱」でおなじみの野田彩子さんの作品「わたしの宇宙」を死って欲しい。この漫画はいわゆる「メタ」なコミックである。メタというのは漫画の世界の外の世界、読者である我々の世界に干渉してくる漫画です。
この漫画のキャラクターは、あるとき「読者」の存在に気づく。そしてそのうち「拭き出し」や「読者の視線」色々と気づいてきて、最終的には「作者」が…。
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野田彩子の作品「わたしの宇宙」
IKKIを毎月買っていたとき、この漫画の連載が始まり、正直意味がわからなかった。「え?これってどういうこと?」とね。ところが話数を進めていくごとに「は?」「え?もしかして?」となっていき、再び全巻のIKKIを読み直すなど、この漫画の意味とルールを知り、引き込まれました。この漫画は学園もの…というククリにさせていただきたい。
これまで「メタ」な作品にあんまりであってなかったため、この漫画のルールに衝撃を受け、「すげーことしてうるな」と率直に思います。
この漫画のキャラクターは、「読者」に気づき、「見られている」ことを意識したリする。そして、「作者」の都合で、腕の傷が左右変わったり、キャラクターのクラスがかわったり、ぶっちゃけ、ルールがあるようで作者のさじ加減で動く世界です。なんだったら重力を無くしたりも出来たでしょう。
そんな「作者=神」な世界が漫画のだ。この挑戦は凄い。つまり、野田彩子さんは作者であり、神であり、すごいひとなのだ。 全二巻ある漫画の終盤では「作者」とのやり取りがある。この漫画の落とすべきところはカンマtに書かれている。
私はお話の中のキャラクターによく恋をしますが彼らが私を知らずに生きてるように私も彼らのことを何ひとつわからないまま生きてるこの感じがめっちゃ興奮します。
この考え方からこの漫画が始まったかはわからないですが、野田彩子という人物のキャラクターを思う気持ち、考えは少なからずこの漫画でにじみ出ていると思います。
さて、自分がもし漫画のキャラクターだったら、何を思うだろうか?主人公クラスなら、きっと色々とヤッテみたいと思う。モブなら、キット何も出来ないだろうな。何かを成し遂げたいなら主人公にならなきゃな。
わたしの宇宙
主人この一人、津乃峰アリス。可愛い。学園生活の2年生になってから始まる。
主人公その2、星野宇宙。漫画タイトルになっている「わたしの宇宙」の「宇宙」とはまさにそのままのことだ。
宇宙の兄妹「真理」。弟だ。宇宙と真理、まさにそのままだ。第3の主人公、のちに「宇宙」くんより出番が多くなる。
漫画1話で「読者」に気づき、屋上から飛び降りる祖谷くん。宇宙君は祖谷くんと同時に飛び降りて急激に「木」が現われて助かる。それは「宇宙君が主人公だから死なない」を照明した瞬間でもあった。 祖谷は、後に、才見千代子という超可愛らしい女性に愛される。
漫画のキャラクターにはかなりの共通点が有り、宇宙君はそれを手がかりに作者を探しあてる。
「フキダシ」が見えているというシーン。普通に考えると「?」だが、漫画の中に入っていると考えると「フキダシ」が見えているということなのだ。アリスはコレを指摘されて初めて「フキダシ」を認識できた。
漫画は、こんな感じで「漫画の常識」で考えると意味不明なことばかり。作者である野田彩子さんが作ったルールで読んでいけば納得できる物語となっている。
「漫画の中」の世界の人たち。そう考えて読んでいき、ボクはハマっていったのだ。
鮫島晃一というキャラクター
この「鮫島晃一」というキャラクター、おそらく野田彩子さんの趣味だ。何故なら、別の漫画にも同姓同名のキャラクターが出てくる。しかもその漫画では、鮫島晃一が「鮫島晃一というキャラクター、人物」だと認識して存在している。
どちらのプロットが先にでたのかわからないが、おそらく、この「鮫島晃一」は、別の漫画「鮫島晃一」が「わたしの宇宙」にやってきたのではないかと今思う。非常にややこしい話ではあるが、これは野田彩子さんの別の作品をも読んでいただくとうれしい。
「わたしの宇宙」では、他のキャラクター同様に「漫画の世界」を認識して存在する新任教師だ。そして宇宙君を作者の元へ行かせた張本人でもある。顔を変えられたり絵の中からコーヒーを出したりとナンデモ有りのキャラクターだ。非常に魅力的な存在。
メタを読めると楽しいと思った。
「メタ」な漫画は正直あんまり触れたことが無かった。でも、それを理解して、ルールがわかってくると何だか楽しいものに感じる。野田彩子さんのキャラクターはとっても魅力的で、そもそも線が綺麗で、そして好きだ。
別作品「いかづち遠く海が鳴る」も是非とも読んで欲しい漫画の一つである。この漫画に「鮫島晃一」が出現する。「鮫島晃一」という存在をめぐる、神と彼との恋だ。 それについては、またご紹介させていただきたい。