甘詰留太さんの高校生のSMを題材とした漫画「ナナとカオル」。SMと聞いて、その時点でこの漫画を拒否してしまった人はいると思う。でも安心して欲しい。そこら辺の安っぽい恋愛よりも重く、心に来る「純愛」がこの漫画には詰まっている。ただ、その形がSMというだけ。
「愛にはいろんな形が有る」って誰かの言葉。まさにその通りだ。それを無視してまでこの漫画を拒否るのは間違っている。恋愛漫画としてこの漫画は是非読んで欲しいと思う。
そんな「ナナとカオル」の17巻が出たのだ。
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ドキドキとズキズキとゾクゾク
出来ればネタバレを避けたいところだが、コレを書かずしてどうする…という考え。前巻の16巻では、沖縄にてカオルがSMショーに出演することになっていた。そしてナナが沖縄に追っかけて来ていたという当たり。17巻ではナナはその後カオルに会うことになる。そして流れでナナが沖縄で行われているSMショーに出演することに。
つまり、人前での初めてのSMなのだ。
SMショー自体は144話から150話まで、つまり17巻の大半がSMショーにつぎ込まれている。ただ、たったその数話のうちに、「ナナとカオル」の両者の気持ちや思いや、なんだか走馬灯のようによみがえってくる。カオルが沖縄に行くということで、離れ離れになってしまう二人、つまり、もしかしたら「最後」のSM(SMはナナにとっての息抜き)なのかもしれない。
周りの人はお互いが「好き」だと知っていて、なのに当人達と来たら…。
「もどかしい!」「言えよ!」「勇気出せ!」なんて、読み手側の応援はおそらく有ると思う。この二人に、何とかして、何とかして、何とかして…。でも、それはナナ、カオルの二人の話。口出しは出来ませんのですわ(物理的にも無理)
結局口には出さないものの、二人はSMという、縛りという形で伝わったようです。「言えよ」とは思います。でもそれで伝わったのならいいのかなと。
もう3年近くも連載している漫画「ナナとカオル」。二人を見守ってきたがわとしてはもどかしい一方、それが甘詰留太さんの手法であり、魅力であり、「待ってました!」な展開なのだ。ぐぬぅうう、甘詰留太さんの手のひらの上で躍らされている状態なのかー。いや、いいんですよ。僕が望んだことなので!(これは作者と読み手のSMなのか?)